- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

脳死2013年03月15日 17:35

 先月の「連続研修」は私が講師でしたが、テーマの一つは脳死と臓器移植でしたので、いろいろ調べました。 

「脳死とは脳幹* を含む脳の機能が不可逆的に停止した状態をいう。

   *脳幹・・・大脳の外套、辺縁系と小脳を除いた部分。脳幹は大脳半球、小脳および脊髄の諸部分と密接なつながりをもち、脳幹に不可逆性の機能喪失が起ると大脳もその機能を保持できなくなる。脳幹部には呼吸中枢があり、この機能が損なわれると自発呼吸が止まって死にいたる。」

 ところで、従来の「死」の判定は「三徴候死」といって、
   ①心拍動停止
   ②自発呼吸停止
   ③瞳孔拡大・対光反射消失
 だそうです。
 ドラマなんかで、倒れている人に、「首に手を当てて脈を診て、顔に耳を近づけて息をしているかどうか確認し、瞼をぐいっと開かせてペンライトみたいなものを眼球の前でチラチラさせる」のがこれですね。

 ちなみに、いわゆる植物人間状態は脳死とは全く別の状態です。
「植物人間・・・大脳は機能を喪失しているが、脳幹は正常な状態。自発呼吸ができるため栄養を与えれば生きていけるが、意識はなく昏睡状態。」

 さて、「脳死」の状態でも人工呼吸器を装着すれば、体内の酸素供給は確保されるので、しばらく心臓は動き続けます。しかし、呼吸器をつけたままでもいずれは心臓が停止します。ということで、脳幹の機能喪失は死と直結しているのですが、現在は人工呼吸器の発達によって、「脳死」と「死」に時間的な隔たりがある事が問題となります。

 なぜ問題になるかというと、この「脳死」の間に臓器を取り出して、別の人間に移植することが可能だからです。
 (「臓器移植」に続く)

参考文献
 ブリタニカ国際大百科事典 小項目版(2011)
 南山堂医学大辞典第19版、株式会社南山堂