- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

サヴァン症候群2017年04月26日 19:01

 さて、下の問題は解けますでしょうか? 正答率20%の問題です!
 私は「解けましたよ」(自慢げ。笑)
 もっとも本来は、1番のような問題をたくさん解かせて先入観を植え付けた後に、2、3番の問題を出して答えに気付きにくくさせてるそうですが・・・

       どうです? 正解しました?

 このテストは「サヴァン症候群」の解説の中で出てきたものでした。「サヴァン」とは、「脳の機能に障害(知的障害、自閉症など)を持つ一方で、驚異的な記憶力、計算力、創作力などをもつ人たちのこと」で、この症状を「サヴァン症候群」と呼びます。本によるとその能力とは「ピアノを一度も習ったことがないのに一度聴いた曲を再現して弾いたり、走り去っていく動物の姿を完全に再現した彫刻像をつくったり、一瞬見ただけの複雑な景色をえがいたりできる」「すさまじい速さで計算をしたり、教わらなくても瞬時に素因数分解ができたり」するそうです。また「ほとんどのサヴァンの人が驚異的な記憶力を持つ。地図、歴史上の事実、電車やバスの時刻表、本をまるごと一冊分など、ぼう大な情報を記憶できる」というのもあります。
 なぜこのような特殊な能力を持つのか、原因は特定されていませんが「左脳の機能障害」との関連が指摘されています。
「左脳は言語、秩序だった論理的な思考、記号や言語などを使って物事を一般化して考えるといった抽象的な思考に優先的に関わることが多いため、サヴァンの人は理論的に何かを考えたり、抽象的な言葉の意味を理解したりするのがとても下手な場合が多い。一方、右脳はメロディーを把握する能力、空間認知能力、思いつき的な思考、個々の具体的な物や事がらについての思考に優先的に関わることが多い。サヴァンの人の特殊能力は、このような能力を駆使した音楽、美術に関連するものが多い。こうしたことから、彼らは左脳の機能に障害がある分、右脳の機能が発達しているのではないかという仮説が、アメリ力の精神科医トレッファート博士たちにより提唱されている」そうです。

 読んでいて思ったのですが、このサヴァン達は機械が発達する前はすごく重宝されていたのではないでしょうか。一目見ただけで細部まで絵や彫刻で再現できる能力や計算能力、驚異的な記憶力などの超常脳力が、周りの人々や所属グループにもたらす恩恵は多大なものがあったと想像できます。サヴァンがいるかいないかで戦争の勝率とか経済的な利得といったものが大分違ったんじゃないだろうか? こう書くと、ひどい扱いを受けながら酷使されていたのでは心配になりますが、精神状態が不安定な症状なので、むしろ丁寧に扱われていたのではないかと考えています。もっとも、他の大勢とは違うという意識(差別)は常にされていたでしょうが・・・。

 ところで、左脳と右脳の働きの不均衡が能力発現の条件ならば、それを人為的に起こしたらどうなるかという実験が組まれ、それに使われたのが先のマッチ棒のテストです。その結果、電気刺激によって左脳を抑制し右脳を活性化させると正答率が3倍になったという話です。
      ちなみに、左脳、右脳に偽刺激(影響を及ぼさない)を
     与えた場合の正答率は20%だったそうです。


 しかし、当然右脳が優勢になりすぎる不都合というのも予想されますから、実践には程遠いでしょうね。にしても、恐ろしい実験するなー。

参考文献
 newtonムック、脳力のしくみ、ニュートンプレス(2014)


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