- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

比丘十八物その42010年12月18日 23:59

6. 坐具・・・坐臥するとき、下に敷く長方形の布。地上の植物・虫などから身を守り、三衣や寝具の汚損を防ぐために制定されたもので、六物の一つ。これはブッダが成仏の時、敷いた吉祥草に模したものである。三衣に準じて華美を避け、新調するときも古布を中央または四縁にはり、二ないし四重にするなどの規定がある。大きさは律典により差はあるが、60X45cmほどに定められ、後に漸次大きくなったようで、165×80cmの寸法などもある。皮革は許されなかったが、鹿皮などが許された例もある。

7. 錫杖・・・僧侶・修験者の持つ環のついた杖・もと、インドの僧が山野を遊行(遍歴)する時、振り鳴らして毒蛇や害虫を追ったものをいう。また門扉を叩くのにも用いた。中国でも古くから用いられたが、のちに実用を離れ儀具にされた。頭部は錫製、塔婆形で数個の金属の環をつける。中部は木製あるいは鉄製の杖、下部は牙・角製。比丘十八物の一つ。声杖あるいは鳴杖ともいう。僧が遊行に必ず携行するから、諸国をめぐることを飛錫・巡錫といい、滞在することを留錫・掛錫という。

広説佛教語大辞典(中村元、東京書籍)より抜粋