- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

浄土三部経(上)(下)2016年01月28日 23:02

 サンスクリット原典から訳出された現代語版と、漢訳仏典を比べるのが楽しいです。もっとも「仏説無量寿経」は違いが多いので手間がかかるし、「仏説観無量寿経」はサンスクリット原典が発見されていない漢訳仏典からの現代語訳になりますが・・・。
 それぞれに詳しい「訳註」がついていますので、勉強になります。
 
(上)巻には、
 無量寿経系サンスクリット原典のネパール写本を元に、チベット訳を参照しながら現代語に訳出された「梵文和訳」、「仏説無量寿経(漢文)」とその書き下し文。
 (下)巻には、
 「観無量寿経(漢文)」とその書き下し文。サンスクリット原典がないため漢文からの和訳。
 日本に伝えられていた阿弥陀経系サンスクリット原典を、 チベット訳を参照しながら現代語に訳出された「梵文和訳」、「仏説阿弥陀経(漢文)」とその書き下し文。
 巻末には、それぞれの「文献」解説と「『浄土三部経』解説」が収載されていて、浄土教発展の歴史が勉強できます。


 中村元、早島鏡正、紀野一義訳注、浄土三部経(上)無量寿経、岩波書店(1991)
 中村元、早島鏡正、紀野一義訳注、浄土三部経(下)観無量寿経・阿弥陀経、岩波書店(1991)