- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

瞋恚 三毒その22010年09月30日 22:14

 先日、三毒の一つ「愚痴」の話をしましたが、今回は三毒の二つ目「瞋恚(しんに)」です。「瞋恚」とは、「いかり。いかり憎むこと。自分の心にたがうものをいかりうらむこと。腹立ち。憎悪。」と説明されています。
 この「瞋恚」を自分のうちに留めておければまだ良いのでしょうが、「忿(癇癪)」、「恨(うらみ)」、「害(他を害する)」という煩悩につながると考えられています。また、「身心を熱悩せしめ、諸悪行を起こさせる」ともあります。つい行動に出てしまうんですね。私も先日、段ボール箱に八つ当たりして痛い目に遭いましたが、自分にも他人にも良い事なしです。

 しかし、これも三毒だけあって、良くないって言われてもそう簡単にはなくせないですよね。本人や他の人のためにも、怒った方が良いのではと感じてしまうことも沢山有りますし。。。ということは、「他人に瞋恚を起こさせないように、自分の行動・言動に気をつける」ってことが先決なのでしょう。

参考文献
水野弘元、 仏教要語の基礎知識、春秋社
中村 元、広説佛教語大辞典、東京書籍