- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

袖振り合うもタショウの縁2012年02月09日 21:33

 この「タショウ」を漢字で書くと・・・・多少?

 正解は「他生」または「多生」です。
 「他生」は今生(こんじょう;現在の生)に対して、前世や後生のことで、「多生」は幾度も生まれ変わって多くの生をうけることで、共に輪廻転生の思想を反映した言葉です。
 「振り合う」は互いに触れる、または互いに振るということ。

 道行く知らぬ人と袖が触れ合うことさえ宿縁による。すなわち、ちょっとした出来事もすべて宿世の因縁によるという意味です。

 例え些細な出会いだとしても、人と人との出会いは不思議なものであるということです。その出会いというものを大切にしなければいけないですね。

参考文献
 辻本敬順・寄藤文平、くらしの仏教語豆事典(下)、本願寺出版社(2008)
 中村 元、広説佛教語大辞典、東京書籍
 広辞苑第六版、岩波書店