- ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶ水泡(うたかた)は、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。-『方丈記』より
 関東にある企業の研究所に勤めた後、山口にある実家のお寺に僧侶として戻ってきた筆者のブログ

縁起の世界22010年02月28日 23:33

 チリ沖で起きた地震のエネルギーが、約24時間かけて津波となって日本まで届きました。なんとも不思議ではあるけれど、考えてみれば当然かという奇妙な感覚に陥ります。
 ある事が原因()となって、様々な影響を受け()て現象が生じます()。この果は次の因となり、別の縁となり、新たな果が生じます。こうして複雑に影響しあいながら、私たちと私たちをとりまく世界が形作られているというのが、縁起の世界です。
 例えるなら、今回は因=チリ沖地震のエネルギー、縁=太平洋(水)&遮るものがない、果=日本への津波、でしょうか。また、この因は別の縁により別の果(チリ本国の被害等)をもたらしています。
 そして、これらの果は、また新たな因となり縁となっていくのでしょう。

   参考文献 水野弘元、 仏教要語の基礎知識、春秋社